空間分解能(GSD)と必要画素数の考え方

GSD(1画素あたりの大きさ)とは何か、画素ピッチとの関係、見分けたいものの大きさから必要な画素数を求める方法、用途別の目安を解説します。

GSD(空間分解能)とは

GSD(Ground Sample Distance)は、画像の 1 画素が、写している対象の上でどれだけの大きさに当たるかを表す値です。もともとは航空写真や衛星画像で「地上の何 cm が 1 画素になるか」を表す言葉ですが、当サイトでは地面に限らず、撮影距離のところにある対象の 1 画素あたりの大きさ(mm/px)を GSD と呼んでいます。

GSD が小さいほど細かいものまで写ります。たとえば GSD が 1 mm/px なら、1 mm の傷はちょうど 1 画素の大きさで写ります。

画素ピッチと GSD の関係

画素ピッチ は、センサー上で画素が並んでいる間隔です。センサー上の 1 画素は、対象の上では「撮影距離 ÷ 焦点距離」倍の大きさに当たるので、GSD は次のようにも書けます。

撮影距離 を 2 倍にすると GSD も 2 倍(粗く)、焦点距離 を 2 倍にすると GSD は半分(細かく)になります。画素ピッチが小さいセンサーほど、同じ距離・焦点距離で細かく写せます。

画素ピッチは「センサーの幅 ÷ 横の画素数」で求められます。フルサイズで横 6000 画素なら 6.0 µm です。動画のように、センサーの画素を間引いたりまとめたりして少ない画素数で出力する場合は、物理的な画素の間隔ではなく「出力 1 画素あたりの間隔」で考えます。シミュレーターの画素ピッチは、この出力画素換算の値です。

必要な画素数の求め方

写したい範囲(視野)と、見分けたい最小のものの大きさから、必要な横の画素数を求められます。

  1. 必要な GSD を決める。見分けたいものを何画素で捉えるかを決めて、「最小のものの大きさ ÷ 画素数」にします。
  2. 必要な横の画素数 = 視野の横幅 ÷ 必要な GSD。

何画素で捉えればよいかは用途によりますが、1 画素ちょうどでは、写る位置によって 2 画素にまたがったり、ほとんど写らなかったりします。外観検査では、見つけたい欠陥を 3〜4 画素以上で捉えるのが目安としてよく使われます。

例: 横 120 mm の範囲で 0.2 mm の傷を 3 画素で捉えたい → 必要な GSD は約 0.067 mm/px → 必要な横の画素数は 120 ÷ 0.067 ≒ 1800 画素。5MP(2448 × 2048)クラスのカメラが候補になります。詳しい手順は「マシンビジョン・外観検査のレンズ選定」で紹介しています。

GSD だけでは決まらないこと

GSD は画素の並びから決まる幾何学的な値で、実際にどこまで細かく写るかは、レンズの解像力やピントの精度、ぶれ、画像の圧縮にも左右されます。特に絞りを絞ると、回折によって像がぼけます。光の波長 0.55 µm(緑)での回折によるぼけ(エアリーディスクの直径 )は次のとおりで、画素ピッチより十分に大きくなると、画素数を増やしても細かさは上がりません。

F値回折によるぼけの直径
F2.83.8 µm
F5.67.5 µm
F810.7 µm
F1114.8 µm
F1621.5 µm

用途別の GSD の目安

視野幅から焦点距離と GSD を計算する

計算式のまとめ

3. 空間分解能 (GSD) と 被写体画素数

有効撮像領域の幅と出力画素数から画素ピッチ を求め、距離 における 1 画素あたりの寸法()と、身長 1.7 m の人物などが画像上で何画素になるかを計算します。

  • : 画素ピッチ(有効領域の幅 ÷ 横画素数。動画など画素を間引く出力では「出力画素換算」の値)
  • : 出力の横・縦の画素数 (px)
  • : 被写体の実寸法(例: 人物の身長 1.7 m)
  • : 画像上で被写体が占める縦の画素数 (px)

計算は薄肉レンズ近似による幾何光学計算です。ディストーション(歪曲)、フォーカスブリージング、回折、レンズ収差は考慮していません。

ほかの解説