35mm判換算とクロップ係数の仕組み
35mm判換算とクロップ係数の求め方、換算で変わるもの・変わらないもの(焦点距離・遠近感・明るさ・被写界深度)、動画撮影時のクロップを解説します。
35mm判換算とは
35mm判換算(35mm換算)は、あるカメラとレンズの組み合わせの画角を、35mm フルサイズ(36 × 24 mm)のカメラなら何 mm のレンズに相当するかで表したものです。
画角は焦点距離とセンサーの大きさで決まるため(画角の解説)、焦点距離の数字だけでは、センサーの大きさが違うカメラどうしの画角を比べられません。そこで、写真で長く使われてきた 35mm フィルムの大きさを共通の物差しにして、「フルサイズの 50mm と同じくらいの画角」のように表します。スマートフォンのカメラの仕様に書かれている「24mm 相当」「77mm 相当」なども 35mm判換算の値です。
クロップ係数の求め方
35mm判換算の焦点距離は、実際の焦点距離にクロップ係数を掛けて求めます。クロップ係数は、フルサイズの対角線(約 43.27 mm)とそのセンサーの対角線の比です。
| センサー | 寸法 (mm) | 対角線 (mm) | クロップ係数 | フルサイズ 50mm 相当の焦点距離 |
|---|---|---|---|---|
| フルサイズ | 36 × 24 | 43.27 | 1.00x | 50 mm |
| APS-C | 23.5 × 15.6 | 28.21 | 1.53x | 32.6 mm |
| APS-C(キヤノン) | 22.2 × 14.8 | 26.68 | 1.62x | 30.8 mm |
| マイクロフォーサーズ | 17.3 × 13 | 21.64 | 2.00x | 25 mm |
| 1型 | 13.2 × 8.8 | 15.86 | 2.73x | 18.3 mm |
| 2/3型 | 8.8 × 6.6 | 11.00 | 3.93x | 12.7 mm |
| 1/2.3型 | 6.17 × 4.55 | 7.67 | 5.64x | 8.9 mm |
たとえば APS-C(クロップ係数 1.53)で 35mm のレンズを使うと、35mm判換算で約 54mm の画角になります。
換算は対角線どうしの比べ方なので、縦横比が違うセンサーでは水平・垂直の画角が少しずれます。マイクロフォーサーズ(4:3)の 25mm とフルサイズ(3:2)の 50mm は対角画角はほぼ同じですが、水平画角は 38.2° と 39.6° です。
換算で変わるもの・変わらないもの
35mm判換算で置き換わるのは画角だけです。次のものは換算しても変わりません。
- レンズの焦点距離そのもの: APS-C のカメラに付けた 50mm のレンズは、あくまで 50mm のレンズです。フルサイズの 50mm の像の中央部分を切り取って使っていると考えると分かりやすくなります。
- 遠近感(パース): 手前と奥のものの大きさの比は、撮影する位置(距離)だけで決まります。同じ位置から撮れば、焦点距離やセンサーに関係なく同じ遠近感になります。
- 明るさ(露出): F値が同じなら、センサーの大きさに関係なく、同じシャッター速度・ISO感度で同じ明るさに写ります。
一方、被写界深度は同じ F値でもセンサーによって変わります。同じ画角・同じ構図で比べると、F値にクロップ係数を掛けた値がフルサイズでの被写界深度の目安になります。APS-C の F2.8 は、フルサイズの F4.3 前後と同じくらいの被写界深度です(明るさは F2.8 のままです)。
動画撮影時のクロップと換算
写真用のカメラで動画を撮ると、センサー全体を使わないことがあります。
- 縦横比によるクロップ: 3:2 のセンサーで 16:9 の動画を撮ると、上下が使われません。フルサイズなら使われる範囲は 36 × 20.25 mm で、横幅は写真と同じですが、縦は狭くなります。水平画角は写真と同じ 39.6°(50mm)で、垂直画角は 27.0° から 22.9° になります。
- 記録方式によるクロップ: 機種によっては、4K や高フレームレートで撮るときにセンサーの中央部分だけを使います(「1.1 倍クロップ」「APS-C クロップ」などと書かれます)。この場合は、クロップの倍率をさらに焦点距離に掛けて画角を考えます。
16:9 で切り取った範囲の対角線で換算し直すと、フルサイズ 50mm は約 52mm 相当になります。一般には換算値はセンサー全体の対角線で表すため、シミュレーターでは「35mm判換算」にセンサー全体の値を、「有効領域基準」に切り取った範囲の値を並べて表示しています。
計算式のまとめ
4. 35mm判 換算焦点距離 (Crop Factor)
35mm フルサイズ(36.0 × 24.0 mm、対角線 )との対角線の比からクロップ係数を求め、同じ画角になる 35mm判換算の焦点距離を計算します。
シミュレーターの「35mm判換算」はセンサー全体の対角線による一般的な値です。動画などでセンサーをクロップして使う場合の値は「有効領域基準」として併記しています。
- : センサーの対角線長 (mm)
- : APS-C(約1.5x)、マイクロフォーサーズ(約2.0x)、1型(約2.7x)など
計算は薄肉レンズ近似による幾何光学計算です。ディストーション(歪曲)、フォーカスブリージング、回折、レンズ収差は考慮していません。